【1月13日 AFP】政党間の対立で自治政府が3年間にわたり機能停止に陥っていた英領北アイルランドで11日、議会が再開された。英国の欧州連合(EU)離脱(ブレグジット、Brexit)の日が迫る中、英統治の維持を望むプロテスタント系ユニオニスト政党と、アイルランドへの併合を求めるカトリック系ナショナリスト政党が連立案に合意した。

 ボリス・ジョンソン(Boris Johnson)英首相は、13日の北アイルランド訪問を前に声明を出し、「北アイルランドの人々にとって歴史的な時だ」と共同自治の再開を歓迎。「この先の10年間は北アイルランドと英国全体にとって、機会に満ちた信じがたいほど素晴らしい時代になるだろう。われわれは団結して4地域の可能性を解き放つ」と述べた。

 復活した自治政府の首相には、プロテスタント系強硬派の民主統一党(DUP)のアーリーン・フォスター(Arlene Foster)党首が指名された。副首相には、カトリック系の民族主義政党シン・フェイン党(Sinn Fein)のミシェル・オニール(Michelle O'Neill)副党首が就任する。

 ベルファスト(Belfast)郊外ストーモント(Stormont)に設置された北アイルランド議会は2017年1月、再生可能エネルギー政策の費用高騰をめぐるスキャンダルがきっかけで崩壊。議員90人は臨時本会議を何度か開き、激しい折衝を繰り返してきたが解決策は見いだせず、基本的な行政サービスが滞っていた。

 フォスター氏は、「この3年間は分断と非難の応酬に終始してしまった」「だが、決意と共に前進する時が来た」と述べた。

 北アイルランドは面積こそ小さいものの英国にとっては戦略的に重要な地域。英政府は、シン・フェイン党とDUPが合意すれば北アイルランドに多額の助成を行うと約束していた。(c)AFP