【1月13日 AFP】年金制度改革に対する抗議デモが続くフランスで12日、最も強く反発を受けている方策を取り下げると政府が提案したにもかかわらず、交通機関のストは39日目を迎えた。

 同国のエドゥアール・フィリップ(Edouard Philippe)首相は11日、バスや電車、地下鉄の運行を大きく乱し、首都パリとその郊外に混乱をもたらしたストに終止符を打つため、年金の完全支給開始年齢を62歳から64歳に引き上げる方針を取り下げると発表。

 エマニュエル・マクロン(Emmanuel Macron)大統領は、この変更は「建設的で理非をわきまえた妥協案」だと主張した。

 独立組合全国連合(UNSA)など改革志向の労組は、この妥協案の発表を歓迎。国の年金制度を財政的に持続可能なものにするため、雇用者らと協力する用意があると表明した。

 UNSAのディディエ・マティス(Didier Mathis)事務局長はAFPに対し、UNSAの国鉄労組は「ストを続ける」が、交渉に応じると述べた。

 しかし、労働総連盟(CGT)や労働者の力派(FO)、ソリデール(Solidaires)といった強硬派労組は姿勢を変えず、16日に予定されている大規模デモの開催を含め、ストや抗議デモを継続しようと呼びかけた。

 11日にパリで行われたデモでは、マスクやフードを身に着けた参加者も見られ、デモ行進の通り沿いにある店舗の窓を割ったり、放火したり、警察の機動隊にものを投げたりした。これに対し警察は催涙ガスを使用した。デモは、マルセイユ(Marseille)やトゥールーズ(Toulouse)、リヨン(Lyon)、ナント(Nantes)などでも行われた。

 内務省によると、仏全土で14万9000人がデモに参加。一方でCGTは、パリだけで15万人がデモに参加したとし、全国の参加者は50万人に上ったと発表した。(c)AFP/Marie-Pierre FEREY