【1月10日 AFP】韓国でセクハラ告発運動「#MeToo(私も)」が広まるきっかけとなった事件をめぐる裁判で、同国の最高裁は9日、元検事の安兌根(アン・テグン、Ahn Tae-geun)被告(53)に対する下級審の有罪判決を破棄し、審理のやり直しを命じた。これにより被告は釈放された。

 安被告は、2015年に出席した葬儀の場で、後輩検事の徐志賢(ソ・ジヒョン、Seo Ji-hyun)さんの体を何度もまさぐった疑いをめぐり、昨年1月に職権乱用で懲役2年の判決を受けた。安被告は2017年、これとは別の汚職問題で解雇されていた。

 安被告は、正式に被害を訴えた徐さんを地方へ異動させ、徐さんのキャリアに大きな影響を与えたとされる。

 徐さんは2018年、テレビインタビューで涙ながらに被害を公表。これを見た他の女性たちもせきを切ったように自分の体験を語り始め、アート界から政界までさまざまな分野の権力者たちによるセクハラを糾弾し、韓国の#MeToo運動へと発展した。

 安被告は、セクハラでは1年の時効が過ぎていたため起訴されなかったが、報復のために自らの地位を利用し、徐さんを左遷するよう検察幹部に圧力をかけたとして、職権乱用で起訴された。

 だが最高裁は9日、徐さんの地方職への異動に関する文書の作成を依頼した安被告の行動が職権乱用に当たると判断するのは難しいとして、下級審の判決を破棄した。(c)AFP