【1月9日 AFP】1999~2019年に死亡した脳炎患者のうち8人が、トガリネズミが媒介するボルナ病ウイルスに感染していたとする研究論文が7日、英医学誌ランセット(The Lancet)に発表された。

 同研究によると、8人全員がドイツ南部でボルナ病ウイルスに感染。そのほとんどは農業地域または半農業地域で暮らし、動物と日常的に接触していた。

 2色の毛と白い歯を持つトガリネズミが媒介するボルナ病ウイルスは、脳炎を誘発し、馬や羊に感染することで知られている。

 研究チームはボルナ病ウイルスについて、トガリネズミと接触した飼い猫を介してヒトに感染した可能性があると指摘。「少なくとも感染者7人は、猫と密接な接触を持っていたと報告されている」「猫が狩りの時にトガリネズミを家に持ち込んだことで、ヒトがトガリネズミにさらされた可能性もある」という。

 ボルナ病の初期症状は発熱と頭痛、意識混濁などで、後期に至ると記憶障害やけいれん、意識消失などを引き起こす。治療法は知られていない。

 ボルナ病は、18世紀末に初めて感染が記録されたドイツの町の名前にちなんで名付けられた。

 今回新たに確認された8人は、入院後16~57日で昏睡(こんすい)状態に陥り死亡した。

 共著者の一人でレーゲンスブルク大学病院(Regensburg University Hospital)のバーバラ・シュミット(Barbara Schmidt)氏は、「ボルナ病ウイルスは数十年間気付かれることなくヒトに感染し、同地域で発生した原因不明の脳炎の原因となっていた可能性がある」と指摘した。また、ボルナ病ウイルスは、同地域のトガリネズミの個体群に固有のものだという。

 レーゲンスブルク大学微生物衛生研究所のハンス・ヘルムート・ニラー(Hans Helmut Niller)氏が主導した今回の研究では、過去20年間に脳炎のような症状を発症した患者56人の脳細胞を分析した。

 今回の研究で新たに8人が確認されたことで、ドイツ南部のボルナ病患者の総数は14人となった。全員が死亡している。(c)AFP/Marlowe HOOD