【1月5日 AFP】大規模な森林火災が猛威を振るっているオーストラリアで5日、幹部からボランティアまでさまざまな消防関係者が、スコット・モリソン(Scott Morrison)首相の危機対応を激しく批判した。数か月間続いている消火活動の負担が顕在化しつつある。

 テレビ取材でモリソン首相をこき下ろした発言がインターネットで拡散した消防隊員のポール・パーカー(Paul Parker)氏(57)はAFPに対し、豪政府、特にモリソン首相の対応に「あきれ返った」と語った。

 また、昨年9月の火災発生以降、少なくとも3人の消防隊員が殉職している中、消火活動で疲れきっている大勢のボランティアが「(火災)現場に行くことを望んでいる」とした首相の発言を感情もあらわに非難。消防隊員らは「命がけで」消火活動を行っているとした上で、「俺は地元のネリゲン(Nelligen)とオーストラリア国民のためにやっているんだ。スコット・モリソン、おまえや政府のやつらのためじゃない」と強調した。

 ニューサウスウェールズ州地方消防局(New South Wales Rural Fire Service)のシェーン・フィッツシモンズ(Shane Fitzsimmons)局長はこの日、モリソン首相が消防隊の支援目的で予備兵3000人の動員を決めたとの報道について、「大変期待外れ」だったとコメントした。

 モリソン首相に対する冷たい反応や厳しい批判もあるが、数万人いる消防隊員の政治的見解はさまざまだ。

 モリソン首相はこの日、実に多くの人が他人を批判しているが、そんなことは現時点で誰の役にも立たないとして、「今は現在進行中の(火災)対応に集中すべき時だ」と語った。(c)AFP