【12月29日 AFP】史上最悪規模の森林火災に見舞われているオーストラリアのスコット・モリソン(Scott Morrison)首相は29日、長期にわたって鎮火活動に当たっているボランティア消防士らに対し、政府から特別手当を支給すると発表した。

 手当は最高で日額300オーストラリア・ドル(約2万3000円)、1人当たりの受給額は6000オーストラリア・ドル(約46万円)までに設定されている。

 最も大きな被害の出ているニューサウスウェールズ(New South Wales)州で10日以上、消火活動に当たっている州地方消防局のボランティア消防士たちは直ちに支給対象となる。

 手当支給を決めたことについて、モリソン首相は「地方消防局のボランティアたちが消防活動の対価を求めていないのは分かっている。だが、彼らが無私無欲の貢献をしてくれたために、家族が経済的に困窮するような状況は見たくない」と説明。またその趣旨について「ボランティアたちに報酬を払うということではなく、彼らを経済的損失から守ることで、ボランティア活動を支えていくためのものだ」と述べた。

 支給対象は、自営業または中小企業に勤務しながら消防活動に当たるボランティアたち。世界最多となる約7万人がボランティア消防士に登録しているニューサウスウェールズ州の手当支給額は、総額約5000万オーストラリア・ドル(約38億円)に上ると見込まれる。

 モリソン首相によれば、自治体からの要請があれば、他の州や準州にも特別手当支給が適用される。

 ボランティア消防士を務める公務員たちに関しては先週、森林火災の消火活動に参加するために、有給休暇の付与日数を増やす措置が取られた。

 今回の森林火災では、これまでに300万ヘクタール以上が焼失、10人が死亡し、住宅数百棟が全焼した。こうした中、オーストラリアでは火災への対応をめぐってモリソン首相に対する批判が強まっていた。(c)AFP