【12月27日 AFP】20世紀を代表するリリック・テノールとして広く知られるドイツのオペラ歌手・指揮者のペーター・シュライヤー(Peter Schreier)氏が25日、出身地のドレスデン(Dresden)で亡くなった。84歳だった。同氏の秘書が26日、明らかにした。長い闘病生活を続けていたという。

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 シュライヤー氏は2000年に、舞台で恋する若者を演じるには年を取り過ぎたという理由により65歳でオペラから引退したが、数年間はリサイタルを続けた。その後は健康状態が悪化するまで、教育活動と指揮に専念した。

 ドイツ各社の報道によると、シュライヤー氏は背中や腰に問題があり、糖尿病を患っていた。

 シュライヤー氏は、ドイツのベルリンからオーストリアのウィーン、ザルツブルク(Salzburg)、イタリアのミラノ(Milan)さらには米ニューヨークまで、世界の一流の歌劇場や音楽祭で定期的に公演した。

 数十年にわたるキャリアを通じ60以上の役をこなしたシュライヤー氏は、ヨハン・セバスチャン・バッハ(Johann Sebastian Bach)とウォルフガング・アマデウス・モーツァルト(Wolfgang Amadeus Mozart)の歌い手としておそらく最もよく知られているが、レパートリーにはその他リヒャルト・ワーグナー(Richard Wagner)も含まれる。同氏は1966年に、ワーグナー作品の祭典で有名なバイロイト音楽祭(Bayreuth Festival)でも歌声を披露した。

 シュライヤー氏は過去に独DPA通信に対し、「音楽のない日は無駄に過ごした日」と語っている。(c)AFP/Michelle FITZPATRICK