【12月8日 東方新報】北京大学(Peking University)円明園(Old Summer Palace)研究センターが昨年12月16日、開設された。円明園の文物のデータベース化を行い、大学と園による双方向の学術研究プロジェクトのプラットフォームをつくり、情報と資源を共有、人材の育成と交流に寄与して、産学研究協力交流メカニズムを確立することなどを目的とする。

 円明園は清王朝康熙、雍正、乾隆、嘉慶の4代の皇帝が約150年をかけて造営したとされ、当時としては世界最大級の庭園だ。その荘厳さはベルサイユ宮殿(Palace of Versailles)に匹敵するともいわれた。1860年の英仏連合軍による破壊、奪略によって荒れ果てていたが、その跡地は廃虚の形で修復され、今は観光名所となっている。

 北京大学は中国人文系研究の最高学府。両者の距離は1キロほどと近く、歴史的な縁も少なくない。英米資本に建設された燕京大学(Yenching University)が1952年に解体された後、北京大学が燕京大学旧跡地に移転されたが、燕京大学キャンパスは円明五園の一つ、淑春園などが含まれる。淑春園は乾隆帝が臣下・和珅(He Shen)に与えた庭園だ。

 また、乾隆帝の第十七子の永璘の庭で、最後は清王朝最後の皇帝・溥儀(Puyi)の叔父である載濤(Zai Tao)が持ち主であった朗潤園もキャンパス敷地内に含まれる。北京大学には、当時の円明園の文物が多く残っている。例えば西校門の石の麒麟像、鐘亭里の銅鐘、未名湖の翻尾石魚などだ。

 同時に円明園は、愛国主義教育の基地としても発信力を持つ。英仏連合軍による徹底破壊を受けた円明園は、中国のアヘン戦争から始まる屈辱の100年史のシンボルとされてきた。一方で、英仏連合軍に略奪され海外に持ちされた文物などの買い戻しなどは、愛国的な民間人や民間企業も関わってきた。

 開設式典の後、北京大学考古文博学院の張剣葳(Zhang Jianwei)副院長は「センター設立の最大意義は北京大学が一つの人文研究人材の育成実践基地を提供したことだ」とメディアに語り、円明園の考古学活動、その庭園システムなどの研究、文物のデータベース化、文物保護といった人文研究の総合的な実践現場となって、その方面の人材養成が大きく発展させることができると期待を寄せた。

 また、円明園管理処の李向陽(Li Xiangyang)副主任は「センター設立によって、歴史文化交流と発掘、ともに大きな推進作用が発揮される」とコメントした。(c)東方新報/AFPBB News