中国とフィリピンの関係が緊密化、国交樹立45周年を来年に控え
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【1月7日 東方新報】国交樹立45周年を来年に迎えるにあたり、中国とフィリピンのさまざまな側面からの協力関係が緊密化している。
中国とフィリピンは一時期、南シナ海の環礁島の領有権をめぐり対立し、ハーグ国際法廷の判決はフィリピンの主張が通ったが、中国がこれを無視したため、両国の関係は相当冷え込んでいた。しかし、フィリピンがロドリゴ・ドゥテルテ(Rodrigo Duterte)政権になって以降は関係改善に向かい、中国からフィリピンに対する投資が急増。中国の対フィリピン投資総額は今年1-10月で、3340万ドル(約37億円)。前年同期比45.7%増となった。
中国は昨年9月、2016年にハーグ国際法廷が出した南シナ海の領有権をめぐる中国側主張を退ける判決を無視することを条件に、フィリピンの排他的経済水域(EEZ)内のリード礁周辺の海域におけるガス共同開発の権益60%をフィリピン側に譲渡し、中国側が40%を保有するという提案を行っていた。
中国の王毅(Wang Yi)外相は先月16日、スペイン・マドリード(Madrid)で開催されたアジア欧州会議(ASEM)外相会合に合わせ、フィリピンのテオドロ・ロクシン(Teodoro L. Locsin Jr.)外相と会談。王外相が「中国とフィリピンの天然ガス開発協力備忘録の精神に基づき、南シナ海の天然ガス開発協力を実質的に積極推進していくことが両国元首の重要な共通認識だとしてフィリピン側も真摯(しんし)に受け止めてほしい」と発言したのに対し、ロクシン外相は「フィリピンは中国とともに努力してガス田開発協力を進展させていく心づもりだ」と答えた。
フィリピンに新たに中国大使として赴任した黄渓連(Huang Xilian)大使は同日、フィリピン大使館が主催したメディア向けのクリスマスパーティーおよびマカオ(Macau)返還20周年記念記者会見の席で、「中国のフィリピンに対する10項目の政府援助が順調に行われ、フィリピン人民に実際的な利益をもたらしている」と述べ、両国の協力の成果を強調し、中比関係の未来に期待をよせた。
黄大使はまた、「過去3年、中国とフィリピンの関係は前進し、平和を堅持して経済貿易協力を推進してきた。人文交流も密接になり両国と両国人民の共同の利益に合致している」「さらに重要なことは、双方が『求同存異(意見の相違はおいておき、一致を求める)』精神をもって、建設的に対立点に対応し、多くの進展をしてきた」と両国関係を評価し、中国がフィリピンにとって最大の貿易パートナーで、第一の輸入国元、輸出対象であり、最大の投資国家で、観光客も二番目に多いと強調した。
中国からフィリピンに訪れる旅行客は159万人をこえ前年同期比41%増。貿易総額は498億ドル(約5兆4551億円)で前年同期比7.2%増だ。特にフィリピンから中国へのバナナの輸出量が増えており、1~9月で110万トン、金額にして4.93億ドル(約5400億4220万円)相当。また同じ期間、40以上の中国企業がフィリピンに投資しており、直接あるいは間接的に2.6万の就職機会を創出した。
中国は「一帯一路(Belt and Road)」構想の一環として、農業投資、農業インフラへの投資に重点を置いている。チコ川かんがい、新世紀水源カリワダムなどは、フィリピンの地元住民の強い反対などの問題を抱えながらも、台風による農業被害や夏の干ばつによる水不足などの問題を解決し、中国農業の「走出去」(海外進出)政策に沿ったものとして期待されている。 (c)東方新報/AFPBB News