【12月25日 東方新報】中国・福建省(Fujian)福州市(Fuzhou)で12月10~19日、「遷台歴史記憶両岸四都市巡回展」(台湾移民をめぐる歴史記憶四都市巡回展)が開催された。福州は巡回展の今年最終開催地であり、三坊七巷(Sanfangqixiang)南後(Nanhou)街75号の展示館内には、大陸から台湾に渡った近代史史料文献や家系図、中台を往来した書簡や手書き原稿などが展示され、参観者に中台の絆と歴史について考えてもらう場となった。

 主催は台湾沈春池文教基金会(SCCF)と閩台歴史文化研究院で、前後して高雄(Kaohsiung)、上海、台北(Taipei)で開催されてきた。企画自体は2016年に始動、中国大陸から台湾に移住してきた一族を一代、二代、三代とめぐってインタビューし記録、一族に受け継がれてきた記念物や家宝などを借り受けるために台湾中を奔走してきた。

 現在、歴史の証言者として800人が参加している。その中には、元台湾総統の馬英九(Ma Ying-jeou)氏、現代水墨画壇の父ともいわれる劉国松(Liu Guosong)氏、蘇州「厳家花園」の園主の御曹司でもある厳雋泰(Yan Juntai)氏といった著名人物も大勢含まれている。

 福州は台湾との距離がわずか250キロで、台湾移住者の最も多い都市であり、台湾移住の玄関口でもあった。このため福州の展示には、台湾に血縁者を持つ参加者も多い。古くは明や清の時代に一族が台湾に移住した家系から、戦後に台湾に移った家系まで、閩人(福建人)の台湾移住の歴史背景の変遷も展示では特集された。

 台湾沈春池文教基金会の沈慶京(Sheen Ching-Jing)会長は、自身も台湾移民二世の企業家。元国民革命軍の軍官で台湾・威京総部集団(Core Pacific Group)創設者でもある沈春池(Sheen Chuen-Chi)氏の息子であり、1980年代には台湾株式市場四天王の一人と呼ばれた人物だ。古希を過ぎて、台湾移民一代目の物語に思いをはせ、もし彼らの歴史記録を今、掘り起こし保存せねば、その記憶はほとんど消え去ってしまうとの思いから企画を思い立った。

 「異なる省、異なる区にルーツをもつ人々が台湾で自然に融合してこの70年という時代を生き、残した貴重な真実の歴史史料、記録を救う努力をしてきた。これが歴史の事実であり、大勢の人たちの理解と支持を得たい」とコメントした。(c)東方新報/AFPBB New