【12月26日 AFP】独身女性の卵子凍結保存が禁止されている中国で、ある女性が卵子凍結を拒否した病院を相手取って裁判を起こし、23日に首都北京の裁判所で非公開の初審理に臨んだ。同国でこの禁止規定をめぐり訴訟が起こされたのは、今回が初めて。

 フリーランスの編集者として働くテレサ・シュー(Teresa Xu)さん(31)は昨年、北京のある有名病院で卵子の凍結保存を希望したところ断られ、「結婚して早く子どもを産みなさい」と言われたという。

「出産するかどうかという決断を下す年齢が高くなっているため、卵子の凍結保存は既婚・独身を問わず、中国の若い女性の間で大きな需要がある」とAFPに語ったシューさん。「でも不公平な法律のせいで、病院は独身女性を拒否している」と指摘している。

 同国の規定では、がんなど健康上の理由がない限り、結婚していない女性の卵子凍結は禁止されている。

 シューさんは、全国人民代表大会(National People's Congress、全人代、国会に相当)の来年3月の大会で、独身女性が直面する生殖に関する制限を議題に上げてもらえるよう、ある代表に請願書を送ったことも明らかにした。

 中国の独身女性は、卵子凍結以外にも、体外受精(IVF)や精子バンクといった、生殖補助医療技術の享受がほぼ認められていない。

 こういった制約は、中国共産党が一人っ子政策で出産を厳しく制限していた時代を想起させる。

 中国政府は近年、出生率の向上を目指している。2016年には、夫婦1組につき子ども2人をもうけることを認めたが、独身女性が出産を届け出ようとする際には、依然差別や法律上の障害に直面する。(c)AFP