【12月26日 AFP】ロシアは23日、国外からのサイバー攻撃に備えてネットワークインフラの「安全性」を確保し、インターネットの「主権」を守るための試験を実施した。人権活動家らは今回の試験を含む一連の施策について、検閲強化や国内ネットワークの隔離につながりかねないと懸念している。

 ロシアのウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領は今年5月、国外サーバーから送信されるデータを遮断できるようにする法案に署名。同法は先月施行された。

 新法には批判もあるが、デジタル発展・通信・マスコミ省は、政府がロシア国内のインターネットを世界のネットワークから隔離する準備をしているとの見方を否定。一般のネット利用者が試験に気付くことはないと説明している。

 同省は今回の訓練について、インターネットの「完全性」を確保することが目的だと説明。アレクセイ・ソコロフ(Alexei Sokolov)次官は記者団に対し、試験の結果はプーチン大統領に報告される予定で、訓練は今後も続けられると述べた。

 国営ニュース専門チャンネル「ロシア24(Rossiya 24)」が伝えた事実関係によれば、試験は2週間前から実施されていた。

 ソコロフ次官によると、試験はサイバー攻撃に対する国内ネットワークの安全性のほか、携帯電話利用者の安全確保や、送信中のデータやテキストメッセージの傍受の可否について行われた。

 新法はロシアのインターネット接続業者(プロバイダー)に対し、通信制御の集約を可能にするため、当局が提供した機器を導入するよう義務付けている。この機器はまた、公開が禁止されたウェブサイトへのアクセスを防ぐフィルタリング機能も備えている。

 プーチン大統領は先週、年末恒例の記者会見で自国のインターネット政策を擁護し、ロシアは「インターネット鎖国に向かっている」わけではないと主張。「自由なインターネットと主権あるインターネットのどちらも、互いを排除する概念ではない」と述べた。

 ロシアでは政治的議論や反体制的主張、抗議行動の組織化がインターネットを中心に行われている。人権活動家らは新法について、ビジネス向け交流サイト(SNS)「リンクトイン(LinkedIn)」やメッセージアプリ「テレグラム(Telegram)」のサービス遮断といった過去の措置に続く新たな検閲だと主張している。(c)AFP