【1月12日 AFP】紅海(Red Sea)に面したエジプトの高級リゾート、ハルガダ(Hurghada)のビーチで行われたごみ拾いの結果はそれほど悪くなかった。紅海県で昨年から導入された新たな環境保護対策が功を奏し、この辺りのプラスチックごみは減っている。

 ごみ拾いに参加したワエルさん(20)は、プラスチック製のボトルやストロー、袋などが詰め込まれた袋五つを指さしながら「それほど多くはない――半年前にはプラスチックごみがトラックを埋め尽くしていた」と語った。

 ハルガダなど紅海県の複数の都市は昨年6月、使い捨てプラスチック製品を禁止し、厳しい罰金を科すことにした。これにより、使い捨てのプラスチック製買い物袋や食器類の大部分は、紙やその他有機物、生分解性プラスチックなどでつくられた製品に切り替えられた。

 ハルガダ環境保護保全協会(HEPCA)は、問題がなくなったわけではないが、ハルガダのごみ選別施設では大きな変化がみられると指摘する。同施設に運び込まれるプラスチックごみは、2019年11月には前年同期の230トンから141トンに減少したという。

■罰金が効果

 海に流れ込んだポリマー素材のごみによりサンゴ礁が破壊され海洋生物が傷つくと、環境保護活動家らは長年、訴えてきた。

 現在、全世界で年間3億以上トンのプラスチック製品が製造されているが、国連(UN)によると、製造されたプラスチック製品のうち再利用されているのは全体のわずか9%にとどまっている。また、科学者らは少なくとも5兆個のプラスチックごみが海洋に漂っていると推定している。

 紅海県は観光収入に大きく依存しており、サンゴ礁が広がる海でのシュノーケリングやスキューバダイビング目当てに多くの観光客が訪れる。だが、繊細な生物であるサンゴは、地球温暖化とプラスチック汚染の影響を特に受けやすい。

 当局は取り締まりに力を入れており、昨年8月にはハルガダのショッピングセンターからプラスチック袋を押収し、2万エジプト・ポンド(約13万円)の罰金を科したと地元メディアは報じた。HEPCAの幹部ヘバ・シャウキー(Heba Shawky)氏は、罰金のおかげでハルガダの店舗の70%以上が協力してくれていると述べている。

 使い捨てプラスチックが禁止されて以降、HEPCAや当局は住民や店舗に再利用可能な袋を何万枚も配布し、使い捨てプラスチック袋を使用しないよう促している。ファストフードチェーンや食料品店は、木製や紙製の包装に切り替えている他、ハルガダ周辺のホテルの大半は使い捨てプラスチック製コップや食器の使用をやめた。

 あるリゾートホテルの飲食部門責任者ムハンマド・ムーサ(Mohamed Musa)氏は、1回の食事時間にホテルから出るプラごみの量が最大2トンから約750キロにまで削減されたと話している。(c)AFP/Bassem Aboualabass