ユダヤ人共同体の「記憶の守り手」 墓地巡回ボランティア 仏
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■相次ぐユダヤ人墓地荒らし
アルザス地方では最近、各地でユダヤ人墓地荒らしが発生しており、記憶の守り手のような活動が急務となっている。
ウェストフェン(Westhoffen)の墓地では今月初め、107基の墓にナチス・ドイツ(Nazi)のかぎ十字や反ユダヤ主義的な落書きがされているのが見つかった。
エマニュエル・マクロン(Emmanuel Macron)大統領はこれを受けツイッター(Twitter)に、「ユダヤ人はフランスそのもので、フランスの一部だ」「たとえ墓であろうと、ユダヤ人を攻撃する者は、われわれが考えるフランスには値しない」と投稿した。その後政府は、ヘイトクライム対策部の設置を発表した。
また今年2月には、同じくアルザス地方のクアツェンハイム(Quatzenheim)のユダヤ人墓地で、96基の墓が荒らされているのが発見されている。
警察に報告された反ユダヤ主義的な犯罪件数は、2018年には前年比74%増加している。欧州で最大のユダヤ人社会とイスラム社会を有するフランスは、この状況に危機感を覚えている。
アルザス地方には67か所のユダヤ人墓地がある。昔は同地域全体にユダヤ人共同体が存在していたことを考えれば、この数の多さは不思議ではない。今ではこれらの共同体はほとんどが姿を消しており、墓地の保護をますます困難にしている。
18世紀のフランスでは、ユダヤ人の半数以上がアルザス地方に住んでいた。だが、14世紀にこれらの都市での居住権が剥奪され、1791年までその状態が続いた。
記憶の守り手プロジェクトを主導したのは、アルザスで宗教的対話を推進する委員会の委員長を務めるフィリペ・イシュテール(Philippe Ichter)氏だ。同氏は「今日、アルザス地方の全人口200万人のうち、ユダヤ人は2万人を下回る。ホロコースト以降、もはや田舎にはユダヤ人はいない」と指摘する。
フランシス・ロシェル(Francis Laucher)さんと妻のソランジュ(Solange Laucher)さんも、ユングホルツの墓地で巡回ボランティアをしている。
退職した元技術者のロシェルさんは「われわれ2人とも骨の髄までアルザス人だ。どうしたらこんなひどいことができるのだろう。死者は安らかに眠らせておくべきだ」と訴えた。
ユングホルツ墓地は1655年に造られたが、1940年から1944年にかけ、ナチスの下でひどく破壊され、約400基の墓石が壊された。だがそれ以降は墓荒らしの被害は受けていない。(c)AFP/Beatrice ROMAN-AMAT