【12月23日 東方新報】中国の「偽薬」がこのほど立て続けに摘発されている。理由として、2018年に行われた機構改革による縦割り行政の改善が考えられるという。

 山東省(Shandong)青島市(Qingdao)崂山区(Laoshan)の市場監督管理局は6日までに、市公安局との8か月にわたる合同捜査の結果、国際的な偽バイアグラ(勃起障害治療薬)製造・販売事件を摘発、時価総額3億8700万元(約60億3720万円)相当の偽薬などを押収した。

 調べによると、2月に3万錠余りのバイアグラが韓国宛ての小荷物から発見され、確認したところ偽物と判明。浙江省(Zhejiang)の地下工場を製造元と突き止め、12人を逮捕した。また、バイアグラ、ジフルカン(深在性真菌症治療薬)などファイザー製の薬の偽物約340万錠以上を押収した。

 また、寧夏回族自治区(Ningxia Hui Autonomous Region)の銀川市(Yinchuan)公安局は10日までに、1500万元(約2億3400万円)規模、被害者4000人以上の偽の薬の生産・販売事件を摘発。被害は中国以外に、日本、フィリピン、米国など6か国におよび、寧夏における最大規模の偽薬事件という。

 この薬は「寧夏黄氏中医診療所」の名前を付けた補腎系(虚弱改善)漢方薬で、服用後に何の効果もなく、薬品成分表示もないことから、利用者が衛生健康局に通報。黄氏中医診療所という医療機構は存在せず、購入時についていた「医療機構営業許可証」も偽造であったことから、関連当局が調査を開始。首謀者2人を含む14人が逮捕された。

 容疑者らは、品質の低い漢方薬のクズなどを安く購入し、高級漢方薬材を使用したかのように包装して2018年4月からネット販売していた。漢方薬医の「黄老師」として微信(ウィーチャット、WeChat)などのSNSに広告を出し、ユーザーとのチャットを通じて巧みにだまして購入させていたという。

 中国の「偽薬」は古くからの社会問題だ。衛生健康当局、市場監督管理当局など複数の関係機関が関与する複雑な案件で、捜査に時間がかかるため摘発は簡単ではない。しかし、2018年3月に打ち出された国務院の機構改革に伴い、地方でも昨年暮れごろから機構改革が完了。それまでの縦割り行政が改善されたことが、こうした偽の薬の製造・販売事件の摘発増加につながっているとみられている。(c)東方新報/AFPBB News