【12月22日 AFP】オーストラリア東部で森林火災が猛威を振るうさなかにバカンスで海外に出掛け批判を浴びていたスコット・モリソン(Scott Morrison)首相が22日、ニューサウスウェールズ州地方消防局(New South Wales Rural Fire Service)本部を訪れ、森林火災の消火活動に当たっている消防士らをねぎらうとともに、米ハワイで休暇をとっていたことを国民に謝罪した。

 制御不能に陥った炎を食い止めるべく数か月にわたって昼夜、消火活動に臨んできたボランティア消防士らには濃い疲労の色がみられた。

 記録的な被害が出ている今回の森林火災では、ほぼベルギーの国土と同面積が焼失。東部沿岸のブリスベン(Brisbane)やシドニーから首都キャンベラなどの大都市が火災の有毒煙に覆われた。

 だがモリソン氏はそのさなか、家族と休暇を過ごすために米ハワイへ出国。これがメディアで報じられ、国内で批判が巻き起こった。街では抗議デモが繰り広げられ、ソーシャルメディアでもハッシュタグ「#WhereTheBloodyHellAreYa?(おまえは一体どこにいるんだ?)」と共にモリソン氏に対する批判コメントが拡散した。

 高まる批判を受け、モリソン氏は休暇を切り上げて帰国。22日に訪問したニューサウスウェールズ州地方消防局本部で、海外旅行に出掛けていたことは誤りだったとして謝罪した。また、森林火災は気候変動と関連していると改めて認めたものの、石炭産業を擁護する政策を変えるつもりはないことをにおわせた。

 オーストラリアは毎年のように森林火災に見舞われているが、地球温暖化のために火災悪化の気象条件が強まっていると専門家らは警告している。(c)AFP/Andrew BEATTY