ベツレヘムにバンクシーの新作登場、分断の壁を背にキリストの生誕シーン
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【12月22日 AFP】英国の覆面ストリートアーティスト、バンクシー(Banksy)の新作が、クリスマスを間近に控えるパレスチナ自治区ヨルダン川西岸(West Bank)のベツレヘム(Bethlehem)に登場した。
「ベツレヘムの傷跡(Scar of Bethlehem)」と名付けられた今回の作品は、迫撃砲による穴を表現したコンクリートのブロック壁を背に、イエス・キリスト(Jesus Christ)の生誕シーンを描いたもの。生まれたばかりのイエス・キリストと、聖母マリア(Mary)、ヨセフ(Joseph)が、壁の穴を通じて背後から照らされる。穴から4方に向かって壁の表面が削られており、クリスマスの星のように見える。
作品が展示されたのは、ベツレヘムにあるバンクシーのホテル、「ウォールド・オフ・ホテル(The Walled Off Hotel)」。イスラエルとパレスチナ自治区ヨルダン川西岸を分断するためにイスラエルが建設したコンクリート壁を、全ての部屋から見渡すことができる。
ホテル支配人のウィサム・サルサー(Wissam Salsaa)氏はAFPに対し、ベツレヘムでパレスチナ人らがどのように生活をしているのかを「もっと考えてもらうため、ベツレヘムの話、クリスマスの話を異なる形で持ちだすのは素晴らしい方法だ」と称賛。
サルサー氏は、イスラエルによって建てられた壁は「傷跡」だと述べ、壁建設を「支持した全ての人は恥じるべきだ」と語った。
イスラエルは2002年、パレスチナ人によるインティファーダ(反イスラエル闘争)を受けて壁の建設に着手。一部はコンクリート製の壁、他の箇所はフェンスで、大部分がヨルダン川西岸内に建てられている。イスラエルは、この壁について攻撃を防ぐために必要だとしているが、パレスチナ人はエルサレム(Jerusalem)からパレスチナ人を隔てるためのアパルトヘイト(人種隔離)の壁と呼んでいる。(c)AFP/Claire Gounon