【12月13日 AFP】飼い葉おけに眠る乳飲み子イエス・キリスト(Jesus Christ)はアルミ製の保温シートに包まれ、聖母マリア(Mary)ともヨセフ(Joseph)とも引き離されて、それぞれ別のおりに閉じ込められている──米カリフォルニア州に、こんな衝撃的な降誕人形(クリブ)が登場した。

 制作したのは、ロサンゼルスから東に約48キロ離れたクレアモント(Claremont)にあるプロテスタントのキリスト教会。移民の窮状への関心を高めようとの意図がある。

「3人を別々のおりに入れたのは、私たちの社会と、収容所に拘束され助けが必要な全ての移民たちを象徴するためだ」と、降誕人形の共同制作者の一人でクレアモント統一メソジスト教会(Claremont United Methodist Church)の広報担当者、ジェナロ・コルドバ(Genaro Cordoba)氏はAFPに説明した。「イエス、ヨセフ、マリアは米国内だけではなく、世界中の全ての移民や難民を代表する存在だ」

 同教会の聖職者カレン・クラークリスティーン(Karen Clark Ristine)氏は、おりに閉じ込められた聖家族の写真をフェイスブック(Facebook)に投稿。3人は「世界で最も有名な難民の家族」だと説明した。

 同氏は、イエスが生まれて間もなく、ヨセフとマリアがヘロデ王(King Herod)を避けて中東ナザレ(Nazareth)からエジプトへ逃れたことに言及。「彼らは迫害と死を恐れていた。もし、この家族が今、米国に逃げてきたらどうなるか」とつづった。

「想像してみてほしい。ヨセフとマリアは国境で離れ離れにされ、2歳にもならないイエスも母親から引き離されて、国境警備隊の収容施設のおりの中に入れられるだろう。これまで3年間に5500人以上の子どもたちがされたように」 (c)AFP