【12月19日 AFP】中国有数のエリート大学である上海の復旦大学(Fudan University)の憲章から「思想の自由」への言及が削除され、学生らが異例ともいえる抵抗の姿勢をみせている。

 今週インターネット上などで拡散した動画には、学生らが復旦大学に集まって「学問の独立と思想の自由」を称賛する同校の校歌を歌い、削除にあからさまに抗議する様子が捉えられていた。ある復旦大学の学生がAFPに語ったところによると、集まりは18日の昼食時に行われたという。

 復旦大学は入学困難な高等教育機関であると同時に、最もリベラルな気風の学校の一つとして知られており、比較的学問の自由が保たれていることを学生たちも誇りにしている。

 憲章の変更は、17日に教育省がウェブサイト上で発表。ソーシャルメディア上ですぐさま大きな話題となったが、検閲により疑念を示す投稿は削除され、議論は阻止された。

 また「思想の自由」への言及が削除された一方、変更後の憲章には「習近平(Xi Jinping)国家主席が掲げる新時代の中国の特色ある社会主義思想を、教授や学生の心に植え付ける」との文言が加えられている。

 さらに変更後の憲章は、学部や教授に「社会主義者の中心的価値」に沿うよう求め、大学が「調和のとれた」大学キャンパスを築くよう促している。一般的に「調和」という言葉は、反政府感情を排除するという意味合いで用いられることが多い。

 教育省の発表によると、南京大学(Nanjing University)と陜西師範大学(Shaanxi Normal University)の憲章も今月に入って同様に変更がされた。ただ、もともと両大学の憲章には思想の自由への言及はない。また、最近両校は習氏に忠誠を誓う態度を強化している。

 習氏は2012年に国家主席に就任して以降、共産党による支配を強化する政策を推進。また、毛沢東(Mao Zedong)時代をほうふつとさせる曖昧な定義の「習近平思想」をうたうなど、自身への個人崇拝につながるような政策も進めている。(c)AFP