■「強制失踪疑惑」

 ムスタファさんは、2月にトルコ各地で相次いで姿を消した6人のうちの1人だ。全員がギュレン師の支持者とつながっているとして訴えられていた。うち4人は7月、警察の留置所に再び姿を現した。最後に姿を現したギョクハン・トルクメン(Gokhan Turkmen)さんは、ムスタファさんが現れた数日後の11月5日に戻ってきた。

 国際人権団体アムネスティ・インターナショナル(Amnesty International)によると、トルクメンさんの妻も夫について「極端に体重が減っており、病的なほど青白い肌をしている」と話しているという。

 トルクメンさんはまた、妻がツイッター(Twitter)を使って「夫の失踪に疑問を投げ掛け、人々の関心を集めようとしていた」行為をやめさせたと、アムネスティは述べている。

 アムネスティはこの「強制失踪疑惑」に対する「迅速で、独立した、公正な捜査」の実施と公正な裁判の保証をトルコ当局に求めている。

 アンカラの検察当局はAFPの取材に対し、トルクメンさんやムスタファさんについて裁判手続きは進めていないとし、それ以上の詳細は明かすことができないと答えた。

 だが、失踪は終わっていない。

 8月6日、ユセフ・ビルゲ・トゥンチュ(Yusuf Bilge Tunc)さん(38)が姿を消した。本人は否定していたが、トゥンチュさんもギュレン運動とのつながりを指摘され、軍事産業の監督をする国家機関での職を解雇されていた。

 トゥンチュさんの妻は、夫の失踪について積極的な捜査が何も行われていないと訴えている。

 家族と反政府派議員オメル・ファルク・ゲルゲルリオル(Omer Faruk Gergerlioglu)氏は、欧州人権裁判所(ECHR)をはじめとする国内外の組織に申し立てをしたが、今のところ何の進展もない。

 しかしトゥンチュさんの妻は、他の失踪者が最近再び姿を現したことから、夫が戻って来る期待が高まったと話している。(c)AFP/Raziye Akkoc