【2月9日 AFP】ヘビの顎の裏側をしっかりつかみ、毒腺をさすって滴を絞り出す──毒ヘビにかまれた被害者の命を救う、抗毒血清を作るためだ。ブラジルでは毎年多くの人々が毒ヘビにかまれている。

 サンパウロにあるブタンタン研究所(Butantan Institute)では、毒ヘビが多数保管されている。ここで作成された抗毒血清は、保健省が国中の医療機関へ配布している。

 蒸し暑い気候のブラジルには、ハララカをはじめとする数十種類の毒ヘビが生息している。公式統計によると、2018年には2万9000人近くがヘビにかまれ、100人以上が死亡した。

 抗毒血清は、研究所で飼育している馬に少量のヘビ毒を注射して作られる。馬の体内では、毒素に対する抗体を生成する免疫反応が引き起こされる。その馬の血液を採取して血清が作られ、ヘビにかまれた患者にこの血清が投与される。

 アフリカをはじめとする世界的な抗毒血清の不足を緩和するため、海外に抗毒血清を販売する計画も現在、進められている。

 世界保健機関(WHO)によると、世界では毎年およそ540万人がヘビにかまれ、このうち、8万1000~13万8000人が死亡している。また毒が引き起こした症状によって、体の一部を切断するなど恒久的な障害が残る場合も多い。(c)AFP/Allison JACKSON