【12月18日 AFP】ローマ教皇庁(バチカン)は17日、ローマ・カトリック教会が司祭らに対して定める守秘義務の対象から性的虐待事件を除外する方針を発表した。教会内での小児性愛事件隠蔽(いんぺい)撲滅に向けフランシスコ教皇(Pope Francis)が進める取り組みの一環。

 この規定は、外交や個人的問題、犯罪容疑など、教会の統治に関わる機密性の高い情報を保護するためのものだが、司祭や被害者が虐待を通報する妨げとなり、事件の刑事訴追を阻害しているとの批判があった。

 教皇は、自身の83歳の誕生日である17日に出した声明で、同規定を性的虐待事件に関する「告発、裁判、決定」に適用しないよう指示。虐待事件に関して「通報者、被害に遭ったと訴える人、目撃者は、いかなる守秘義務にも縛られてはならない」と記した。

 子どもの頃に性的虐待の被害を受けた当事者で、教皇庁の児童保護委員会が適切な対応を取っていないとして同委員会を辞職したマリー・コリンズ(Marie Collins)さんはツイッター(Twitter)に「素晴らしい知らせだ」と投稿。今回の措置は委員会の勧告に沿ったものだとした上で、「ついに本物の前向きな変化が起こった」と歓迎した。

 フランシスコ教皇は今年5月、性的虐待を把握した人に上司への通報を義務付ける教令を発していた。(c)AFP/Ljubomir MILASIN / Alexandria SAGE