【12月18日 AFP】国際ジャーナリスト組織「国境なき記者団(RSF)」(本部パリ)は17日、2019年に報道に関連して死亡した記者は世界全体で49人だったと発表した。過去16年間では最少。イエメン、シリア、アフガニスタンでの紛争取材中に死亡した記者が多かった。

 RSFは、過去20年の平均である約80人と比べれば今年の死者数は「歴史的に少ない」ものの、「ジャーナリズムは依然として危険な職業だ」と指摘した。

 クリストフ・ドロワール(Christophe Deloire)事務局長は、メキシコだけで10人が死亡するなど、平時と見なされる国での記者殺害件数が憂慮すべき高水準にとどまっているとし、「中南米諸国で殺害された記者は計14人で、中東と同等になっている」ことに警鐘を鳴らした。

 同事務局長は、紛争地で死亡した記者が減少したことは喜ばしいが、「民主主義国で仕事をする記者の暗殺が増えている。これは民主主義に対する真の挑戦だ」と述べている。

 RSFによると、記者の死亡件数は減ったものの、収監される記者は増えている。2019年に収監された記者は389人前後で、前年から12%増加。このうち半数近くが中国、エジプト、サウジアラビアの3か国で発生した。

 サウジに対しては、トルコのイスタンブールに置く総領事館で昨年、コラムニストのジャマル・カショギ(Jamal Khashoggi)氏が殺害された事件への責任が指摘されている。

 このほか、シリア、イエメン、イラク、ウクライナを中心に世界で57人の記者が人質として拘束されている。(c)AFP