【12月15日 AFP】イタリアの首都ローマで14日、ゼノフォビア(外国人嫌悪)に抗議し政治改革を訴える若者主導の「イワシ運動(Sardine Movement)」のデモが行われ、数万人が参加した。

 イワシ運動は、前政権の副首相兼内相として移民に厳しい姿勢を取った極右のマッテオ・サルビーニ(Matteo Salvini)氏に対する抗議の象徴となっている。

 右派の「ポピュリズム(大衆迎合主義)」に反対している運動の創始者の一人、マッティア・サントーリ(Mattia Santori)氏(32)は市民に対し、従来の政党よりも自由で自発的な形を取ることで、新たなエネルギーを引き出したいと語った。「階層組織」にはせず、「幅広い方向性」を設定していくという。

 イワシ運動は1か月前にボローニャ(Bologna)で誕生したばかり。サルビーニ氏が語る「憎しみと分断」を非難しようと無名の活動家4人が呼び掛けたデモに1万5000人が参加し、誰もが驚いた。

 以来、ミラノ(Milan)やフィレンツェ(Florence)、ナポリ(Naples)、パレルモ(Palermo)でデモを実施し、数万人を動員した。

 サントーリ氏はAFPに対し、「最初は反サルビーニだったが、後に民主主義の再確認となった。われわれは反ファシストだ。平等を支持し、不寛容や同性愛嫌悪に反対している」と語った。

 イワシ運動を立ち上げたのは、経済学者のサントーリ氏と観光ガイドのアンドレア・ガレッファ(Andrea Garreffa)氏(34)、エンジニアのロベルト・モロッティ(Roberto Morotti)氏(31)。3人は政治を「クールな」ものにしたいと語る。

 運動のローマ支部代表を務めるのはケニア出身のジャーナリスト、スティーブン・オゴンゴ(Stephen Ogongo)氏(45)だ。

 オゴンゴ氏は15日ほど前にローマ支部のフェイスブック(Facebook)公式ページを立ち上げ、14日のデモを呼び掛けた。オゴンゴ氏は、「(立ち上げの)翌日、1万人が参加を希望した」「その次の日には2万人になった」と語った。

 イワシ運動の参加者の多くは、気候変動やマフィア、貧困問題のデモにも参加している。(c)AFP/Françoise KADRI