人種差別に揺れるセリエA、今度はバロテッリが標的に
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【11月4日 AFP】イタリア・セリエA、ブレシア(Brescia Calcio)のマリオ・バロテッリ(Mario Barwauh Balotelli)が3日、第11節のエラス・ベローナ(Hellas Verona)戦で観客からの人種差別に怒り、試合を放棄しかけた。リーグ序盤戦で相次いでいる見苦しい事件がまたしても起こり、イタリアサッカーが再び人種差別に揺れている。
両親がガーナ移民で、過去にも繰り返し人種差別的なチャントの標的になっているバロテッリは、1点ビハインドで迎えた後半の序盤、極右的な思想の伝統と、あからさまな差別意識で悪名高いベローナのファンからモンキーチャント(猿の鳴きまね)を浴びると、スタンドにボールを蹴り込んで激高。耳に手を当ててピッチを去ろうとし、両チームの選手になだめられて何とかその場にとどまった。
試合はその後、数分間中断され、また差別があった場合には両チームが試合を放棄するという警告がスピーカーから流れると、ホームの観客は大きなブーイングを響かせた。
バロテッリの代理人を務めるミノ・ライオラ(Mino Raiola)氏は、「われわれはマリオとともにあるし、あらゆるかたちの人種差別に反対する。差別をする連中は程度が低い」と顧客の行動を支持した。
国内紙ガゼッタ・デロ・スポルト(Gazzetta dello Sport)によれば、バロテッリは無言でスタジアムを後にしたが、イタリアサッカー連盟(FIGC)の関係者も差別的な言葉を耳にしたという。ブレシアのエウジェニオ・コリーニ(Eugenio Corini)監督は、バロテッリがスタンドから「聞こえた何か」に逆上したと話している。
ベローナのイヴァン・ユリッチ(Ivan Juric)監督は試合後「差別的なチャントは聞いていない。全くだ」「そうでないと言ったらうそになる」「彼は素晴らしい選手だが、差別チャントはどこにあった?」と話していたが、ベローナファンがツイッター(Twitter)に投稿した動画には詳しい状況が示されていて、多くのサポーターが明らかにバロテッリへ向けてモンキーチャントを浴びせているのが分かる。
試合は結局、ベローナが2-1で勝利して9位に浮上した。ブレシアもバロテッリのゴールで追い上げたが及ばず、降格圏から抜け出すことはできなかった。(c)AFP