【12月10日 AFP】カエルは気候変動や生息地の減少が原因で、地球上で最も大きな絶滅危機に直面している生物種の一つだが、科学者チームはこのほど、野生のカエルの状態を定期的に調査するための新たな機器を開発した。「フロッグフォン(FrogPhone)」だ。

 専門誌「メソッズ・イン・エコロジー・アンド・エボリューション(Methods in Ecology and Evolution)」に掲載された論文によると、「フロッグフォンは、太陽電池で作動する世界初の遠隔調査機器」で、調査対象領域とそこに生息する生物に関するデータを科学者にリアルタイム中継することができるのだという。

 この機器に電話をかけることで、カエルの鳴き声といった機器周辺のさまざまな音声が直接中継される。研究者は任意の場所から電話をすることができ、その音声によって生物種の同定が可能になる。

 論文の筆頭執筆者で、豪ニューサウスウェールズ大学(University of New South Wales)のエイドリアン・ガリドー・サンチス(Adrian Garrido Sanchis)博士によると、「最新のマイクを備えたこの機器は、半径100~150メートルの範囲からカエルの鳴き声を検出できる」という。

 論文共同執筆者のアンケ・マリア・ヘーファー(Anke Maria Hoefer)氏は、「フロッグフォンを使うことで、カエルの局所個体群を従来より高頻度で容易に観察できる。これが大きな意義を持つ理由は、環境の健全性の指標としてカエル種が広く認識されているからだ」と説明する。また、フロッグフォンを使うことで、調査区域への人の直接的な侵入が最小限に抑えられることも指摘した。

 調査区域における生物の活動は夜間に最も活発となる。また、その場所が遠隔地であることも多く、定期的に訪れることは難しい。(c)AFP