【12月10日 AFP】ロシア反ドーピング機関(RUSADA)のユーリ・ガヌス(Yury Ganus)事務局長は9日、同国に対して今後4年間にわたり国際スポーツ大会への出場禁止処分が下されたことについて、異議を申し立てても勝訴の見込みは「全くない」との見解を示し、クリーンなアスリートにとって悲劇であると述べた。

 世界反ドーピング機関(WADA)が下した決定によって、ロシアが2020年東京五輪をはじめ、2022年の北京冬季五輪とサッカーW杯カタール大会(2022 World Cup)に出場できなくなったことを受け、RUSADAのガヌス事務局長は、「この件で裁判で勝つ見込みは全くない」とAFPに対して語った。

 また、19日に開かれるRUSADAの会合で、今回の決定に不服を申し立てるか協議することになっているとも明かし、「これは悲劇だ」「クリーンなアスリートたちは、自分たちの権利が限られていることを目の当たりにしている」と述べた。

 一部のロシア選手は同国を離れて別の場所でトレーニングすることを検討しているといい、ガヌス事務局長はそうしたアスリートたちの心情は「最悪なもの」と察しつつ、キャリアが短いスポーツ選手にとって4年という時間は長いと強調した。

 これに先立ち、スイス・ローザンヌ(Lausanne)で同日開かれたWADAの常任理事会では、モスクワの検査データが改ざんされていたとして、ロシアに対して4年間の出場禁止処分を決定。すでに同国は、2018年平昌冬季五輪において中立の立場での参加を余儀なくされるなど、ここ数年間で一連の処分に直面していた。

 ロシアの各競技連盟の責任者は、東京五輪では中立旗の下で選手団を派遣する準備に取り掛かっていることを明らかにした。

 中でもロシア水泳連盟(RSF)のウラジミール・サルニコフ(Vladimir Salnikov)会長は、国営ロシア通信(RIA)に対し、自国のアスリートが「どのような状況であろうとも、五輪に出場しなくてはならない」との姿勢を示すと、「もちろん、われわれはロシア国旗の下で大会に参加し、国歌に耳を傾けることを望んでいる。しかし、今の状況ではそうはいかないようだ…。(それに)無実のアスリートの夢を奪う権利は誰にもない」と述べた。(c)AFP