■ロックの「精神」

 カナダのダルハウジー大学(Dalhousie University)で音楽学を教えるジャクリーン・ワーウィック(Jacqueline Warwick)氏は、ロックはかつて「真剣な」アーティストのための音楽だと思われていたが、ヒップホップ、そしてポップまでもが同様の主張をするようになってきたと話す。

「ロックは、時代から取り残された恐竜のような存在になってしまった」

 一方、ロックに関する複数の著作を持つディアナ・アダムズ(Deanna Adams)氏はAFPに対し、ロックの今日性を疑問視する声はあっても、広範囲に与えた影響力については否定できないとの見方を示す。

「ロックンロールがなければ、ヘビーメタルもパンクも、そしてヒップホップも生まれなかった」とアダムズ氏は主張する。「ロックンロールは決して死なない。頑丈な古木に張り出した太くて豊かな枝だからだ」

 実際、ヒップホップアーティストたちの多くも、ロックの「精神」は永遠に生き続けるだろうと指摘する。

「ロックの殿堂(Rock and Roll Hall of Fame)」入りを果たしたギャングスタ・ラップのパイオニア「N.W.A.」の元メンバー、アイス・キューブ(Ice Cube)は、「ロックンロールは精神そのものを指す」と話す。

「ロックとは、音楽においても人生においても、先人のやり方に倣うのではなく、自分の道を切り開くことを言う」 (c)AFP/Maggy DONALDSON