■ロックの衰退

 今年8月に開催される野外音楽祭ウッドストック・フェスティバル(Woodstock Festival)50周年を記念したフェスティバルには、前回のウッドストックに出演した「サンタナ(Santana)」やジョン・フォガティ(John Fogerty)、「キャンド・ヒート(Canned Heat)」といった60年代を代表するアーティストらが再び出演する。一方で、若年層を動員するためラッパーのジェイ・Z(Jay Z)、エレクトロポップのシンガー・ソングライターのホールジー(Halsey)、ポップスターのマイリー・サイラス(Miley Cyrus)もヘッドライナーになっている。

 ロックの衰退を示すかのような兆候はまだある。グラミー賞(Grammy Awards)授賞式で、ロック部門は何年も前からテレビ中継されなくなっている。

 音楽評論家のダン・オッジ(Dan Ozzi)氏は昨年、バイス・メディア(Vice Media)に「ロックは死んだ。やれやれ(Rock is Dead, Thank God)」と題した評論を投稿した。この中でオッジ氏は「ロックは、人気や収益などさまざまな面においてポップとヒップホップ、EDMの影響で影が薄くなっている」と評し、次のように結論付けた。

「こうした基準から言えば、そう、ロックは死んだ」

■ヒップホップが「若者文化を代表する声」に

 ロックが最後の輝きを放ったのは1990年代だったと唱える音楽関係者もいる。この時代、「ニルヴァーナ(Nirvana)」「スマッシング・パンプキンズ(The Smashing Pumpkins)」「レッド・ホット・チリ・ペッパーズ(Red Hot Chili Peppers)」「サウンドガーデン(Soundgarden)」が音楽シーンを席巻した。

 だが、ニルヴァーナの元マネジャーのダニー・ゴールドバーグ(Danny Goldberg)氏は、1990年代半ばには、ロックが占めていた革新的な立ち位置がヒップホップに取って代わられるようになったと指摘する。

 AFPの取材に応じたゴールドバーグ氏は、ヒップホップが「若者文化を代表する声になった」と話した。