【12月6日 AFP】米国は5日、イランで発生したガソリンの値上げに対する抗議デモへの弾圧で、1000人超が死亡したとみられると発表し、弾圧はイラン革命以降最悪の国内問題と指摘した。

 米国は中東で敵対するイランへの圧力を強めており、ある当局者によると、米国防総省は5000~7000人規模の増派を検討しているという。

 米国務省のブライアン・フック(Brian Hook)イラン担当特別代表は記者団に対し、「イラン政権は反政府デモの開始以降、市民1000人超を殺害した可能性がある」と述べ、マイク・ポンペオ(Mike Pompeo)米国務長官の呼び掛けに応じてイラン人3万2000人から送られてきた写真や動画などに基づく数字だと説明した。

 この数字は、情報の裏をとるのが困難なために慎重になっているという国際人権団体アムネスティ・インターナショナル(Amnesty International)発表の208人を大幅に上回る一方、米政権と親密な関係を築き上げてきたイラン反体制派組織「ムジャヒディン・ハルク(イスラム人民戦士機構、MKO)」が4日に発表した1029人とはほぼ一致している。

 アラブ系少数民族が多く暮らすイラン南西部マフシャフル(Mahshahr)から送られてきた映像には、機関銃を据え付けたトラックに乗った精鋭部隊である革命防衛隊(IRGC)が、デモ隊を湿地帯に追い詰める場面が映っていた。この弾圧だけで100人もの人々が殺害されたという。

 イランは1000人超が死亡したとの発表を「真っ赤なうそ」と一蹴。死者は「暴徒」に殺害された治安要員4人と民間人1人の5人だけだと発表した。(c)AFP/Shaun Tandon / with Maya Gebeily in Baghdad