【12月6日 AFP】アフガニスタンで長年支援活動に携わってきた日本人医師、中村哲(Tetsu Nakamura)さん(73)が4日、銃撃され死亡した事件を受けて、同国では5日、中村さんの追悼集会が行われた。人々は数十年にわたり病気に苦しむ人々を世話するとともに同国東部に広がる不毛地帯を生まれ変わらせた中村さんをしのんだ。

 残虐行為や流血の惨事が日常となっているアフガニスタンだが、中村さんの殺害は多くの人にとって恐ろしい、衝撃的な出来事となった。

 アフガニスタンの首都カブールでは国内各地から100人以上が集まり、「真の英雄」との横断幕を掲げながらろうそくをともして中村さんをしのんだ。
 
 中村さんをしのぶ会に参加したある活動家は、「中村医師は人道の象徴だった」と明言。「彼は子どもたちのために、そしてアフガニスタンの人々に奉仕し持続可能な生活を付与するために長年ここにいた」と語った。

 中村さんはアフガニスタンとパキスタンの人々の医療支援に35年をささげ、アフガニスタンで名誉市民権を授与された。アフガニスタンの砂漠化の危険にも警告を発し、中村さんの団体は井戸とかんがい用水路を建設。ナンガルハル(Nangarhar)州の不毛な土地は木々の並んだ緑の土地に生まれ変わった。

 集会はカブールの北に位置するナンガルハル州やパルワン(Parwan)州などでも行われた。ソーシャルメディアは中村さんの死を悼む投稿であふれ、中村さんをしのぶ歌を書き込んだ人もいた。

 中村さんを追悼する声とともに、中村さんの殺害に正義を求める声も上がっている。(c)AFP