【12月5日 AFP】フランス北東部のユダヤ人墓地で墓107基にかぎ十字などが落書きされたことを受けて、内務省は4日、ヘイトクライム(憎悪犯罪)対策部を設置すると発表した。

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 東部アルザス(Alsace)地方ストラスブール(Strasbourg)から西に25キロほど離れたウェストフェン(Westhoffen)の墓地で、墓にナチス・ドイツ(Nazi)の記章や反ユダヤ主義的な落書きがされているのが見つかった。

 クリストフ・カスタネール(Christophe Castaner)内相は、対策部が今回の事件の他、すべての反ユダヤ、反イスラム、反キリスト的な犯罪の捜査を担当することを明らかにした。対策部は憲兵隊に編入されるという。

 カスタネール内相はさらに、対策部は確実に「こうした悪意に満ちた犯罪者を裁く」ため、司法当局や警察との調整を行っていくと述べた。

 落書きされたウェストフェンの墓地には、社会主義思想家で経済学者のカール・マルクス(Karl Marx)の親族や、社会主義者でフランス人民戦線内閣の元首相レオン・ブルム(Leon Blum)の親族の墓もある。

 アルザス地方ではこの1年で、人種差別主義的な器物損壊事件が相次ぎ発生している。2月にもドイツとの国境付近に位置するクアツェンハイム(Quatzenheim)の墓場で、墓96基が荒らされているのが見つかり、各地から怒りの声が上がった。

 フランス全体でも反ユダヤ主義的な犯罪に関する通報は急増しており、2018年には前年比で74%増加した。これを受けて欧州最大のユダヤ社会とイスラム社会を抱える同国では、懸念が広がっている。(c)AFP/Damien STROKA