【12月5日 AFP】ドイツ外務省は4日、ロシアの外交官2人を国外追放したことを発表した。ドイツの首都ベルリンでは今年8月、ロシアのチェチェン(Chechen)共和国の元反体制派指揮官が射殺される事件が発生。ドイツ検察当局は外務省の発表に先立ち、殺害の背後にロシア政府がいた可能性を指摘した。

 殺害されたのは、ジョージア人のゼリムカン・カンゴシュビリ(Zelimkhan Khangoshvili)氏(40)。同氏は8月23日、ベルリン市内にあるクライナーティアガルテン(Kleiner Tiergarten)公園で、至近距離から頭を2度撃たれた。

 この事件では、ロシア人の男が発生直後に容疑者として逮捕された。容疑者をめぐっては、自転車に乗っていたとの証言があるほか、銃を入れて石を詰めたバッグと自転車を川に投げ捨てる姿が目撃されていた。

 ドイツ外務省は4日、「きょう、ベルリンのロシア大使館職員2人をペルソナ・ノン・グラータ(好ましからざる人物)に指定した。処分は即時発効した」と発表。「高位級のルートを通じ、繰り返し粘り強く要求してきたにもかかわらず、ロシア側は当該殺人事件について十分な捜査協力を行っていない」と指摘した。

 諜報(ちょうほう)関連の事案を担当する連邦検察当局は同日、外務省の発表に先立ち、事件の捜査を引き継いだと表明。「殺害の背後にロシア政府かチェチェン共和国の機関がいた証拠となる事実は、十分にある」とした。

 今回の事件では、英国で昨年、ロシア人の元二重スパイ、セルゲイ・スクリパリ(Sergei Skripal)氏が襲撃された事件との類似性が指摘されている。スクリパリ氏襲撃には旧ソ連で開発された神経剤が使われており、ロシア情報機関の関与を非難する声が拡大。英ロ関係は悪化し、互いに相手国の外交官を追放する事態に発展した。

 ドイツ政府による4日の処分の後にも、ロシア外務省当局者が「報復措置」を取ると明言している。(c)AFP/Dario THUBURN