【12月3日 AFP】共産主義政権下の旧チェコスロバキア出身で、1970年代にフランスへ亡命した小説家ミラン・クンデラ(Milan Kundera)氏(90)が、亡命後に剥奪されていたチェコの市民権を改めて獲得した。チェコ外務省が3日、発表した。

 同省報道官はAFPに対し、クンデラ氏と妻のベラ(Vera Kundera)さんは先月28日、駐仏チェコ大使から正式書類を受理したと明かした。

 同大使は日刊紙プラーボ(Pravo)の取材に対し「夫妻は心から喜んでいた。人生が変わる瞬間ではないとは知りながらも、自分たちにとって重要な象徴的意味を確かに感じていたと思う」と話した。

 クンデラ氏は1975年に母国を離れフランスに亡命。1981年にフランスの市民権を取得していた。

 クンデラ氏がチェコを訪れるのはまれ。近年同氏とチェコとの関係が最も大きな話題になったのは、同氏が共産政権時代に警察の密告者だったという疑惑を、2008年にチェコの雑誌が報じた際だった。この疑惑について同氏は「純然たるうそ」だと否定していた。

 同氏の代表作には、1967年の「冗談(The Joke)」、1984年の「存在の耐えられない軽さ(The Unbearable Lightness of Being)」、2013年の「無意味の祝祭(The Festival of Insignificance)」などがある。(c)AFP