【9月21日 AFP】「悲しみよこんにちは(Bonjour Tristesse)」などの小説で知られるフランスの作家、故フランソワーズ・サガン(Francoise Sagan)の「失われた」未完の作品が今月19日に出版され、フランス文学界で今年最大の話題を呼んでいる。

 200ページの小説「Four Corners of the Heart(「心の四隅」の意味)」を発見したのは、息子で著名な写真家のドゥニ・ウェストホフ(Denis Westhoff)氏。サガンの死後、2004年に引き出しの中から草稿を見つけたという。

 サガンがわずか17歳で執筆したデビュー作と同じく、この小説はフランスの上層ブルジョワの人々の生活を切り取って描いた内容になっている。

 ウェストホフ氏は、サガンの遺産をめぐる複数の訴訟が続いている中での今回の発見を「奇跡」と表現。同氏によれば、サガンの財産は「正当とは言えない方法で奪い取られ、売られ、手放され、入手されている」という。

 今回見つかった草稿は何度も複写され、「一部の文字は輪郭がぼやけている」とウェストホフ氏は述べている

 書籍の序文でウェストホフ氏は、サガンを担当し、すでに故人となった編集者の元へこの本を携えて行ったことを認めた。この編集者は刊行を望んでおらず、ウェストホフ氏自らで文章に手を加え、消えている文字や時には欠けている一節を付け足したという。同氏はそうした「校正作業は必要と思われ、小説の文体やトーンは変えないように注意を払った」と述べている。(c)AFP