【12月3日 AFP】気温が高くなると早産が急増する可能性があるとの研究論文が2日、英科学誌ネイチャー・クライメート・チェンジ(Nature Climate Change)に掲載された。子どもの健康に害を及ぼす恐れがあるこの現象は、気候変動に起因する気温の上昇に伴って増加する可能性が高いという。

 米カリフォルニア州の研究チームによると、米国では1969~1988年に平均気温より高い時期に平均で2万5000人の子どもが最大2週間の早産で生まれている。妊娠期間が年間で15万日間短縮されたことになる。

 気温が上昇すると、母親の陣痛が通常より早く始まると思われる理由については不明だが、早産は深刻に受け止めるべき問題だと、論文の執筆者らは指摘している。

 米カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)のアラン・バレッカ(Alan Barreca)氏は、早産で生まれると幼少期の発育のみならず、成人期までその影響が続く可能性が非常に高いが、それを確かめるにはもっと研究を行う必要があるとした上で、「暑いと、陣痛と分娩(ぶんべん)を調整する主要ホルモンであるオキシトシンの濃度が上昇する。その関係から、暑くなると心臓血管にストレスがかかり、それで早産につながるのかもしれない」とAFPの取材に語った。

 バレッカ氏のチームは今回の研究で、米国の複数の郡での1日当たりの出生率の推定変化を調査した。サンプル数は20年分で5600万件に上る。

 分析の結果、気温が32.2度を超えた日に早産率が5%上昇したことが明らかになった。これは出産約200件につき1件の割合に相当する。

 世界の気温は、産業革命前に比べるとすでに約1度上昇しており、今後さらに上昇する事態は避けられない状況にある。気象に関連して早産が増えていく潜在的影響は「極めて懸念される」と、バレッカ氏は指摘している。

 今回の米国での調査結果では、暑さに伴って早産が起こる割合は出産約200件につき1件だったが、それが100件に1件以上に達するのは「思っている以上に早く、今世紀末までに起こると私たちは予測している」と、バレッカ氏は主張。「この数字は小さいように見えるかもしれないが、自動車事故に巻き込まれるリスクよりもはるかに高い」と述べた。(c)AFP/Patrick GALEY