【12月1日 AFP】南極から細長く延びた南極半島(Antarctic Peninsula)沖にあるハーフムーン島(Half Moon Island)。静けさが漂う海に形も大きさもさまざまな、白い折り紙のような氷塊が浮かんでいる。

 海中では機敏な動きをみせるペンギンたちだが、島に上がればよちよち歩きだ。海では巨大なクジラたちは波間を縫うように悠然と泳ぐ姿が見られ、島ではアシカやアザラシたちがのんびりと日光浴をしている。

 チリ南極研究所(INACH)のマルセロ・レッペ(Marcelo Leppe)所長によれば、支配者のいない冒険大陸南極は「地球の心臓」なのだ。

 興味津々なペンギンたちが見つめる中、水温3度の海に入った観光客の男性は、「体中を刺されたみたいだ」と話した。

 しかし、南米大陸に向かって延びる三日月形をしたこの半島も急速に温暖化が進んでいる。氷河融解が起こり、海流に運ばれてきた「マイクロプラスチック(海洋を漂流するうちに微小化したプラスチックごみ)」が生態系を脅かす。

 観光客の増加も問題だ。今季は前年比40%増の8万人近くが訪れるとみられる。

 南極ツアーの運営会社は、「とるのは写真だけ、残すのは足跡だけ、持ち帰るのは思い出だけ」をモットーに、「責任ある観光」を推進していると主張している。

 しかし、世界各地からの旅行者が利用する航空機から排出されるガスや、クルーズ船が排出するすすやブラックカーボン(黒色炭素)は南極にも影響を与えているとして、この種の観光への批判もある。

 ハーフムーン島にはヒゲペンギン約2500羽が生息し、春の繁殖期には島を歩き回るが、その数は徐々に減ってきている。生息数減少の原因が人間にあるのかどうかは分かっていない。(c)AFP