【11月30日 AFP】(更新、写真追加)英ロンドン中心部のロンドン橋(London Bridge)で29日、刃物による襲撃事件があり、警察によると2人が死亡、3人が負傷して現在も治療を受けている。現場に急行した武装警官は「偽の爆発装置」を身につけていた容疑者の男を射殺。警察は事件を「テロ」として扱っていると発表した。

 ロンドン橋では2017年にも襲撃事件により8人が死亡しており、今回の事件は当時を想起させるものとなった。また同日は、クリスマスに向けた年末商戦の始まりとなる大型セール「ブラックフライデー(Black Friday)」の日で、多くの人が街で買い物に興じていた。

 事件は午後2時(日本時間午後11時)前に橋の北側で発生。ツイッター(Twitter)に投稿された動画には、地面に横たわる男を取り囲む人々が映っている。男性1人が右手に刃物とみられるものを手にしてその場から離れると、現場に急行した武装した警官3人のうち1人が別の男性を男から引き離し、銃声とみられる音が2回響いた。

 ロンドン警視庁(Metropolitan Police ServiceScotland Yard)のニール・バス(Neil Basu)副総監は、事件が「テロ事案であることが宣言された」と発表した。

■容疑者の身元発表

 ロンドン警視庁のニール・バス副総監は30日、事件を起こしたのはウスマン・カーン(Usman Khan)容疑者(28)。29日の事件に関連して、カーン容疑者以外に警察が行方を追っている容疑者はいないという。

 カーン容疑者は、ロンドン証券取引所(LSE)などを標的とした爆弾攻撃の計画を立てたとして国際テロ組織アルカイダ(Al-Qaeda)に触発されたグループの8人の一人として2012年に禁錮8年以上の有罪判決を受けたほか、パキスタンで「テロ訓練」に参加するなどのより長期的な計画を立てていた罪でも有罪となったが、2018年12月に仮釈放されていた。

 バス副総監は、カーン容疑者は29日午後、ロンドン橋の北にある歴史的建造物、フィッシュモンガーズ・ホール(Fishmonger's Hall)で開かれたイベントに参加していたと明らかにし、容疑者はそこで襲撃を始め、ロンドン橋に移動してきたとみていると述べた。

 英紙タイムズ(The Times)は、カーン容疑者は襲撃時に、犯罪者を監視する電子装置を身に着けていたと報じた。警察によるとこの他に「偽の爆発物」とみられるものも身に着けていた。

 英国は今月4日、テロ警戒レベルを5段階のうち高い方から2番目の「シビア(severe)」から最も低い「サブスタンシャル(substantial)」に引き下げたばかり。サブスタンシャルに引き下げられたのは過去5年以上で初めてだった。(c)AFP/Robin MILLARD / Charlotte DURAND