【12月1日 東方新報】中国・深セン市(Shenzhen)でこのほど開催された「2019年グローバルゲーム開発者大会(Game Daily Connect)」で、中国のゲーム市場リサーチ企業の「CNG」と欧州のゲーム市場リサーチ企業の「Newzoo」の共同調査リポート「2019年グローバルモバイルゲーム市場中国競争力報告」が発表された。2019年の中国ゲームの海外輸出は総額110億ドル(約1兆2038億円、約773億4000万元)を突破し、前年の95億9000万ドル(約1兆495億円、約674億3000万元)から大幅に上昇。この10年間の間に約100倍に伸びた。

 これは、中国映画の海外興行収入がわずか数十億元であることと比較すると、桁が違い、いかに成長市場かがわかるだろう。今や中国製ゲームは中国文化の「走出去(訳:対外進出)」政策の中心産業になりつつある。

 報告によれば、中国のモバイルゲーム(スマホゲーム)の海外市場シェアは15.8%を超え、特に「一帯一路(Belt and Road)」沿線国家で大きなポテンシャルがあるという。また、今年上半期の中国のゲーム産業市場の成長率は10.8%増で、中でも自主研究開発オンラインゲームの海外市場売り上げが57億3000万ドル(約6300億円)に上り、前年同期比23.7%増だった。これはゲーム産業全体の成長率を超える。

 特筆すべきは、中国ゲーム輸出額は米国に次いで世界第2位であり、主な市場は北米、日韓、西欧といった伝統的なゲーム強国であること。2015年ごろまでは、中国製ゲームは海外ゲームアプリランキング上位50位にほとんど入っていなかった。ほとんどが米アップル社との契約アプリで締められていた。だが今年は中国のゲームアプリは多くの国家・地域でトップを占めている。

 CNGの首席アナリスト王旭(Wang Xu)氏が経済日報(Economic Information Daily)にコメントしたところによれば、欧米や日韓など伝統的ゲーム強国のユーザーはゲームに対するクオリティーへの要求が高く、中国ゲームがそのトップを占めることは決して容易ではなかった。今年上半期、A株上場企業14社の研究開発費が平均2億2800万元(約35億円)に上るというあたりからも、中国のゲーム開発に注がれた努力と情熱が推測できるだろ。

 今やゲームは中国文化の重要な発信媒体としても注目されている。11月14日に国家新聞出版広電総局が発表した11月第2回の批准審査をパスしたゲームは45種あり、うち42種がモバイルゲーム。その中には「少年三国志(三国ブレイズ)2」といった超人気ゲームシリーズもある。2015年2月のリリース後から爆発的人気をほこり、この4年でユーザーは世界で延べ1億人。ゲームへの課金総額は今年8月で50億元(約779億円)を超えている。このゲームで世界の若い世代に三国志ファンを増やした。英米独仏日など多くの国のユーザーに対する調査では、ゲームを通じて中国文化への理解が深まったと回答するユーザーも少なくない。

 中国は、中国の価値観や良好な国家イメージを国際社会に発信するために、ハリウッド映画に進出、漢語教育機関の孔子学院(Confucius Institute)を各国大学機関に創設するなど、文化輸出に力を入れてきたが、近年はスマホゲームがその役割の中心として期待が寄せられている。(c)東方新報/AFPBB News