【11月27日 AFP】中国系の動画共有アプリ「ティックトック(TikTok)」で、若い女性がメークのアドバイスをする動画に見せかけて、新疆ウイグル自治区(Xinjiang Uighur Autonomous Region)の少数民族ウイグル人に対する中国当局の弾圧を非難する動画が投稿され、同アプリ上で急激に拡散されている。

「17歳のただのイスラム教徒」と名乗る米国の少女、フェローザ・アジズ(Feroza Aziz)さんが24日に投稿した動画は、27日朝までに150万回再生され、50万1900件の「いいね」と60万件のコメントが寄せられた。さらに同じ動画はツイッター(Twitter)でより多くの人々に拡散され、650万回以上再生された。

 しかし投稿後、動画は中国を批判するものだとして、アジズさんはティックトックから同アプリへの投稿を1か月間禁止されたと明かした。ティックトックは、中国当局に異議を唱える投稿を検閲しているとしてこれまでにも非難されている。

■「新たなホロコースト」

 アジズさんは動画の中で視聴者に対し「最初に、アイラッシュカーラー(まつげを上向きにカールさせる化粧具)を持ちます」と述べるとすぐに話題を切り替え、「次にカーラーを置いて、今使っている携帯電話を使って中国で起きていること、彼らがどのように無実のイスラム教徒たちを強制収容所に入れ、家族を引き裂き、また(イスラム教徒を)誘拐、殺害、レイプして、強制的に豚肉を食べさせ、酒を飲ませ、改宗を迫っているのかについて調べてください」と続けた。

 さらにアジズさんは「これは新たなホロコースト(Holocaust、ユダヤ人大量虐殺)ですが、まだ誰もこのことについて話していません。関心を持って、新疆ウイグル自治区について知ったことを今すぐに広めてください」と訴え、再びまつ毛カールの話題に戻った。

 ニュージャージー州在住とされるアジズさんは、以前にも別のアカウントで国際テロ組織アルカイダ(Al-Qaeda)創設者の故ウサマ・ビンラディン(Osama bin Laden)容疑者の映像を投稿し、ティックトックの投稿規則に違反したとしてブロックされたことがある。

 しかし同アプリは、現在のアカウントが凍結されているという点については否定。広報担当者はAFPに対し「ティックトックは政治的配慮を理由にコンテンツを管理することはしない」と述べた。

 アジズさんはニュースサイトのバズフィード(BuzzFeed)に対し、「イスラム教徒の少女として私は常に虐げられ、また仲間たちが虐げられるのを見てきた。そして私は常に人権問題に感心を持ってきた」と述べた。

 人権団体や外部の専門家によると、政情が不安定な新疆ウイグル自治区では、ウイグル人やイスラム教徒を中心とする他の少数民族100万人以上が各地の収容施設に拘束されている。

 収容施設の存在を当初否定していた中国は後にこれらの施設について、教育や職業訓練を通じてイスラム過激派や暴力への憧れを失わせるための訓練学校だと説明している。(c)AFP