【11月25日 AFP】ドイツ南部ミュンヘン(Munich)で先週行われた競売で、ナチス・ドイツ(Nazi)の総統、アドルフ・ヒトラー(Adolf Hitler)が使用したシルクハットなどゆかりの品々を落札したレバノン人実業家が、落札品をイスラエルの団体に寄贈する意向を発表した。こうした品々がネオナチらの手に渡ることを防ぐためだという。

 落札したのは、スイスのジュネーブでダイヤモンドや不動産取引で財を成したレバノン出身の実業家、アブダラ・シャティラ(Abdallah Chatila)氏。同氏は週刊紙ル・マタン・ディマンシュ(Le Matin Dimanche)に「こうした品々を買い取ることで、ネオナチのプロパガンダとして使用されなくなることを望んでいる」と語った。

 シャティラ氏は20日の競売で、ヒトラーのものとされる折り畳み式のシルクハットを5万ユーロ(約600万円)で落札。この競売ではナチスゆかりの品々が高値で取引され、国内外から非難が殺到していた。

 シャティラ氏はこの他にも、ヒトラーゆかりの品々を多数落札し、これらをイスラエルの資金調達団体「ケレン・ハイェソド(Keren Hayesod)」に寄贈するという。

 欧州ユダヤ教会(European Jewish Association)のラビ(ユダヤ教指導者)長を務めるマーゴリン(Margolin)師は24日、シャティラ氏の行為に「大変驚き」、「利己的な世界において、真の思いやりや寛容さ、団結を示す行為だ」とコメントした。(c)AFP