【11月20日 AFP】英国で19日、来月の総選挙に向けた与野党両党首による初のテレビ討論が行われ、与党・保守党党首のボリス・ジョンソン(Boris Johnson)首相と最大野党・労働党のジェレミー・コービン(Jeremy Corbyn)党首が、英国の欧州連合(EU)からの離脱(ブレグジット、Brexit)や公的医療制度をめぐって激論を繰り広げた。

 来月12日に総選挙を控えマンチェスターで行われた討論は、英民放ITVで放送された。今回の選挙戦は盛り上がりに欠けるとされ、これまで開かれてきた小党の党首らを含むテレビ討論では対立候補を言い負かすような候補者は一人もいなかった。

 7月に保守党党首に就任したジョンソン氏は、選挙スローガンの「ゲット・ブレグジット・ダン(Get Brexit Done、ブレグジットを完遂する)」を繰り返し口にし、EUからの離脱を最終的に実現しようとする自らの計画に執拗(しつよう)に焦点を絞ろうとした。

 ジョンソン氏は「われわれは後は実行するだけの離脱協定案を既に手にしており、必ず1月31日にブレグジットを実現する」と訴え、2021年までに将来的なEUとの通商関係を完成させると強調した。

 しかし1時間にわたる激論の中、社会主義者のベテラン政治家である労働党のコービン党首は、ジョンソン首相が描いている工程は現実的でなく、英国が大切にしてきた国民医療保険制度である「国民保健サービス(NHS)」を今後、米国との貿易交渉で売り渡そうとしていると指摘。「(ジョンソン首相が)米国との秘密会議を何度か開いており、米国側から、わが国のNHS市場を米企業に開放するよう持ちかけられている」と非難した。

 コービン氏は、2016年に行われたブレグジットの是非を問う国民投票の結果に対し、今でも約半分の英国人は反対していると強調し、ジョンソン氏による協定案についてEUと再交渉し、もう一度国民投票を行うと明言した。

 しかし、再度国民投票を行うとした場合にどういう立場で運動を展開するのか、コービン氏はいまだ語ったことがないため、ジョンソン氏はこの主張をあざ笑い「あなたは離脱を求めるのか、残留を求めるのか?」と冷やかした。(c)AFP/Alice RITCHIE