【11月18日 AFP】英エリザベス女王(Queen Elizabeth II)の次男で王位継承順位第8位のアンドルー王子(Prince Andrew、59)が、2001年に当時17歳だった少女に性行為を強要したとされる疑惑を英BBC放送のインタビューで否定したことで、猛烈な非難を浴びている。「破滅的」なインタビューだったとの指摘もある。

 これまでも疑惑を否定してきたアンドルー王子だが、メディア取材に応じたのは16日放映のBBCインタビューが初めて。しかし、疑惑騒動に幕引きを図るための広報的な賭けは、裏目に出た。

 アンドルー王子を告発したのは、バージニア・ジュフリー(Virginia Giuffre、旧姓ロバーツ〈Roberts〉)さん。性的搾取を目的とした未成年少女の人身取引の疑いで逮捕・勾留中に死亡した米富豪ジェフリー・エプスタイン(Jeffrey Epstein)被告の被害者の一人だ。2001年にロンドンと米ニューヨーク、エプスタイン被告の所有していたカリブ海の島で計3回、アンドルー王子からセックスを強要されたと主張している。

 インタビューでアンドルー王子は、ジュフリーさんに会ったという「記憶がない」と主張した。ジュフリーさんと性行為に及んだとされる点についても「絶対に、一度たりとも起きなかったことだと言い切れる」と述べた。

 疑惑の焦点の一つとなっている2001年3月の夜は、娘のベアトリス王女(Princess Beatrice)を連れてピザ・レストランへ行き、その後はずっと自邸で子どもたちと過ごしていたと説明。また、ロンドンのナイトクラブでジュフリーさんと一緒に汗をかくほど激しく踊ったという点については、フォークランド紛争(1982年)に従軍したことからくる体調不良のせいで当時は汗をかけなかったと答えた。

 さらに、自身がジュフリーさんの腰に手を回して、エプスタイン被告の友人と一緒に写っている写真については、「写真の写真の写真」だと発言し、ねつ造された可能性を示唆した。

 そして、エプスタイン被告とは「親しくなかった」が「滞在するのに便利だった」から被告宅に滞在していたと繰り返し主張。2008年に18歳未満の少女に売春行為をさせた罪で禁錮1年1月の有罪判決を受けたエプスタイン被告が出所してきた直後に、米ニューヨークの被告宅に数日間にわたって滞在したのは、自らの「地位にふさわしい」方法で友情を終わらせるためだったと述べた。

■「流砂にはまったよう」な「破滅的」インタビュー

 だが、一連の釈明は失笑を買い、王子は良識にもエプスタイン被告の被害者への共感にも欠けていると非難が殺到。新聞各紙もそろって否定的に取り上げている。

 広報コンサルタントのマーク・ボルコフスキー(Mark Borkowski)氏は、王子のインタビューについて「流砂にはまった人を見ているようだった」「これほど破滅的な代物は、今まで見たことがない」と評した。

 英紙サンデー・タイムズ(Sunday Times)は、王室関係者の情報として「バッキンガム宮殿(Buckingham Palace)の中に懸念が生じている」とし、エリザベス女王の側近らとチャールズ皇太子(Prince Charles)の間で、アンドルー王子のインタビューをめぐって見解が割れていると伝えた。同紙によると、アンドルー王子の広報顧問1人が2週間前、BBCのインタビューに応じるべきでないと助言した後に辞職していたという。

 以前BBCで王室報道を担当していたピーター・ハント(Peter Hunt)氏は、チャールズ皇太子について「勇気を持って、アンドルー王子に公人としての立場から引退するよう忠告すべきだった」との見方を示した。(c)AFP/Joe JACKSON