シナトラの「マイ・ウェイ」発売50周年、名声の陰に消えた作曲家
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■共作クレジットを承諾したことに後悔はないが…
それからしばらくして、フランソワの屋敷のプールサイドで、ルボー氏はフランソワから「自分で作曲した曲をいくつか弾いてくれないか?」と頼まれ、ギターを取り、曲を披露した。それが、すべての始まりだった。
フランソワはこの曲を「いつものように(Comme d’Habitude)」という曲名でレコーディングした。だが発売前、ルボー氏に担当者から電話がかかってきた。「クロードは(アルバムの)すべての収録曲に自身の名前を入れたがっているが、この曲には入っていない。彼の名前を載せてもいいですか?」
「『構いませんよ』と私は答えた。当時の私たちは、自分たちがしていることを分かっていなかった」とルボー氏は振り返る。
この楽曲の公式のクレジットに「作曲:クロード・フランソワ、ジャック・ルボー。作詞:ジル・ティボー(Gilles Thibaut)」と今も記されているのは、こうした経緯があるからだ。
ルボー氏は、涙が引いた今となっては楽しい思い出だとして、「後悔はしていない」と言いながらも、実を言えば一つ二つの後悔はあると言い添えた。「一番後悔しているのは、作曲者である私の存在が世間から消えてしまったことだ」
「クロードは他の大スターと同様、自分の手柄だと主張したかったのだろう」
一方でルボー氏は、フランソワがこの曲を味わい深く歌い上げ、「甘ったるい」原曲に「男らしさ」を加味してくれたことも認めている。
その夏、カナダ人の元アイドル、ポール・アンカ(Paul Anka)が、休暇でフランスに滞在していた際にこの曲を聞き、その後、人生を回想する内容の歌詞に書き換えた。