【11月15日 AFP】欧州連合(EU)の政策金融機関である欧州投資銀行(EIB)は14日、化石燃料に関連する事業への融資を2022年以降停止すると発表した。気候変動対策の一環であり、環境保護団体はこの方針を「重大な勝利」だと歓迎した。

 EIBはこれまでにも、化石燃料事業への融資は地球温暖化対策の国際的枠組み「パリ協定(Paris Agreement)」でのEUの目標達成を阻害する恐れがあるとの批判を、環境保護団体から受けていた。

 EIBのワーナー・ホイヤー(Werner Hoyer)総裁は、「化石燃料事業への融資をやめ、最も野心的な気候変動対策への融資を開始する」と発表した。

 新たな方針により、今後10年間で1兆ユーロ(約120兆円)の気候変動対策と環境的に持続可能な事業への融資の機会が「開かれる」という。

 EIBの決定に先立ち、欧州委員会(European Commission)のウルズラ・フォンデアライエン(Ursula von der Leyen)次期委員長は、EIBは「環境銀行」に変わるべきだと呼び掛けていた。

 環境保護団体グリーンピース(Greenpeace)と世界自然保護基金(WWF)によると、EU加盟国のうちフランスとドイツを含めた19か国がEIBの新たな方針に賛成票を投じた。

 一方で天然ガス事業への融資に柔軟性を求めるポーランド、ルーマニア、ハンガリーは反対票を投じ、エストニア、リトアニア、キプロス、マルタは棄権した。オーストリアとルクセンブルクも原子力発電が新たな方針で融資の対象となることに反対し、棄権したという。(c)AFP/Marine LAOUCHEZ