【10月24日 AFP】社会運動や世論の高まりによって拍車が掛かった世界の都市では、汚染を削減して環境により配慮した法律の施行を明言するなど、気候対策に本気で乗り出す姿勢が見られ始めている。

 だが、そうした都市部のいくつかでは、気候変動対策の国際的枠組み「パリ協定(Paris Agreement)」の目標に準拠するための取り組みを進める上で、その効果を適正に評価できておらず、これまで問題視されてきた。

 2015年のパリ協定では、世界気温の上昇幅が2度を「十分に下回る」ように抑えることに世界各国が注力するという画期的な合意が結ばれた。

 現在実施されている都市の「カーボンフットプリント(CFP、温室効果ガス排出量)」評価では、特に産業、交通当局、エネルギー企業などからの自主的な情報開示に基づく温室効果ガス推定排出量を追跡している。

 都市部では人為的な温室効果ガス全体の約70%が生成されているが、各都市圏のCFPの推定値には非常に大きな誤差が含まれており、場合によってはその数値が30%に及ぶこともあるという。

 仏気候環境科学研究所(LSCE)の研究者、トマ・ロボ(Thomas Lauvaux)氏は、AFPの取材に応じ、「(算出には)大量の情報を評価する必要があり、通常はそれによって2~3年のタイムラグが生じる」と説明した。

 例えば、2016年に公表されたパリのCFPの最新公式データは、実際には2014年にさかのぼるもので、その排出量は、二酸化炭素(CO2)換算トン単位で年間2560万CO2トンとなっていた。

 だがこのほど、都市が自らの気候対策を監視する仕組みの転換を目的とする試験計画が新たに発表された。22日に発表されたのは、パリ首都圏の建物屋上に設置されたCO2監視装置20台をつないでネットワークを構築して、圏内全域における最新のCO2濃度データを常時提供するという計画だ。

 監視プロジェクトを試験的に進めている新興企業オリジンズアース(Origins.earth)のファウジ・ベンハリファ(Fouzi Benkhelifa)社長は、「現時点では、CO2排出濃度がどのくらいかをリアルタイムで知ることは誰にもできない」ことを指摘する。同社は仏エネルギー大手スエズ(Suez)と欧州連合(EU)から資金供与を受けた。