【11月12日 AFP】鼻先から尻尾までの全長は最大10メートル、太くて短い4本の脚を持ち、恐ろしいのこぎり形の歯。2億年以上前の三畳紀に地球上を徘徊(はいかい)していたクロコダイルの祖先「ラウスキア」のイメージ画は、柔らかい色彩で描かれていても迫力に満ちている。

 しかし、この絵は10代の若者向けのSF雑誌に掲載されているわけではない。南アフリカ・ウィトウォーターズランド大学(University of the Witwatersrand)の至って真面目な科学論文に資料として添付されたものだ。

 制作したのは、科学者でアーティストでもある南アフリカ出身のビクター・レダーマッカー(Viktor Radermacher)氏。「パレオアーティスト」と呼ばれるレダーマッカー氏の仕事は、大昔に絶滅した種がどのような姿をしていたかを造形し、そのイメージを世界に発信することだ。だが、描写は化石の綿密な調査に基づいている。

「パレオアートでは、生物の外見を再構築し、化石に命を吹き込むため最善を尽くしている」「私にとって、本物のパレオアートとはタイムトラベルに最も近いものだ」とレダーマッカー氏は話す。

 同大学の古生物学教授であるジョナ・ショワニヤー(Jonah Choiniere)氏は、2015年に南アフリカ中部で発掘された非常に保存状態の良いラウスキアの化石について、研究チームは調査結果を30ページにわたる論文にまとめたが、「ビクターの絵は、その内容を4分の1ページほどの大きさですべて言い表している」と語った。(c)AFP