【11月12日 AFP】南米ボリビアでは、先月の大統領選での不正疑惑をめぐり数週間にわたり続いた抗議デモの末にエボ・モラレス(Evo Morales)大統領が電撃辞任したことで、権力の空白状態が生まれている。モラレス氏は11日、自身の地位を奪った反対派勢力に対し「国の平和を回復する」よう求めた。

 同国の政府所在地ラパス(La Paz)の一部と近郊のエルアルト(El Alto)では10日夜、略奪行為が起き、店舗やオフィスが破壊された。ラパスのルイス・レビジャ(Luis Revilla)市長は「ラパスは恐怖の夜を過ごした」と述べ、暴動によりバス64台が破壊されたと明らかにした。

 アンントニオ・グテレス(Antonio Guterres)国連事務総長は、指導者不在の様相が強まる同国での治安状況に懸念を表明。米州機構(OAS)も「平和と法の秩序の尊重」を呼び掛けた。

 同国ではモラレス氏の辞任表明後、大統領権限の継承者である副大統領や上下両院の議長らが次々と辞任したため、誰が最高指導者の地位にいるのかについての疑問が生じている。大統領権限を継承する次の人物として憲法で定められているヘアニネ・アニェス(Jeanine Anez)上院副議長は、新たな選挙の迅速な実施を宣言した。議会は12日、暫定大統領の選出手続きを開始する予定。

 10日の辞任表明後、コカノキ栽培で知られる同国中部チャパレ(Chapare)地方に逃れたモラレス氏は、ツイッター(Twitter)で、反対派勢力に対し同日起きた暴動の「責任を取る」よう要求。同国初の先住民出身大統領だったモラレス氏は、大統領選を争った野党のカルロス・メサ(Carlos Mesa)元大統領と反モラレス派指導者ルイス・フェルナンド・カマチョ(Luis Fernando Camacho)氏について、「人種差別主義者でクーデターを企てた人物として歴史に残るだろう」とも述べた。(c)AFP/Francisco JARA