【11月11日 AFP】(更新)先月行われた大統領選で4選を果たした南米ボリビアのエボ・モラレス(Evo Morales)大統領が10日、辞意を表明した。モラレス氏の再選をめぐり不正疑惑が浮上する中、ボリビアでは3週間にわたって抗議デモが続き、軍と警察もモラレス氏への支持を撤回するに至った。

 この日の政局の動きは激しかった。選挙の監査を実施した米州機構(OAS)が、技術面、投票の管理面、開票結果の整合性、統計面など、検討したほぼ全ての側面で不正行為があったと報告。大統領選のやり直しを勧告した。

 これを受け、モラレス氏はいったんはテレビ演説で、大統領選のやり直しを約束。しかし、ボリビア軍のウィリアムズ・カリマン(Williams Kaliman)最高司令官は記者会見を開き、「和平と安定の維持をもたらすため、われらがボリビアのために、大統領に対し職を辞するよう」迫ったことを明かした。続いて警察長官もモラレス氏に辞任を要求した。さらに複数の閣僚や高官がモラレス氏への不支持を表明。モラレス氏はついにテレビ演説で、「大統領の職から辞する」と述べた。

 モラレス氏の辞任を受けて、政府所在地ラパス(La Paz)では直ちに市民が路上に繰り出し、爆竹を鳴らしたり、赤、黄、緑の国旗を振って歓喜したりした。

 大統領選でモラレス氏の対抗馬として争ったカルロス・メサ(Carlos Mesa)元大統領は、「ボリビア国民は教訓を世界に示した。明日ボリビアは新しい国家になる」と語った。

■モラレス氏は亡命へ?

 モラレス氏はコカの栽培農家出身で、2006年に大統領に就任。同国初の先住民出身の大統領となった。

 10月20日の大統領選では僅差で勝利を宣言し、4期目に入ったが、野党が開票時に不正があったと指摘し、その後3週間にわたり抗議デモが続いていた。デモでは3人が死亡し、数百人が負傷した。

 市民がシュプレヒコールを上げる中、モラレス氏は選挙のやり直しを表明したが、国民の怒りを抑えるには至らなかったとみられる。

 辞意表明の演説を行うにあたり、モラレス氏は政治キャリアの原点だったボリビア中部コチャバンバ(Cochabamba)県のチャパレ(Chapare)地方へ飛行機で移動した。

 一方、左派のモラレス氏と長期的に協力関係にあったキューバとベネズエラの政府は、「クーデター」だとして非難した。

 ボリビアのソーシャルメディア上では、モラレス氏が出国するのではないかとの臆測が流れており、行き先として中道左派政権が誕生したばかりのアルゼンチンの名が挙がっている。また、メキシコ外相は、モラレス氏の亡命を受け入れると発表している。ボリビアの政府高官や議員ら約20人は、ラパスにあるメキシコ大使館へ避難しているという。(c)AFP/Francisco JARA