【11月9日 AFP】マイク・ポンペオ(Mike Pompeo)米国務長官と、次期欧州委員会(European Commission)委員長に選出されたウルズラ・フォンデアライエン(Ursula von der Leyen)前ドイツ国防相は8日、西側諸国はロシアと中国による新たな課題に直面していると厳しい警告を発した。

 ポンペオ氏は1989年のベルリンの壁(Berlin Wall)崩壊から30年の節目を翌日に控えたこの日、独首都の名所ブランデンブルク門(Brandenburg Gate)の前にあったベルリンの壁の跡地のすぐ近くで演説。西側諸国が多数の地政学的課題に直面する中で、各国の首脳が新たな課題への対処に失敗すれば、1949年4月の設立から70年以上が過ぎた北大西洋条約機構(NATO)という防塁も「陳腐化する恐れがある」と指摘した。

 ポンペオ氏の発言は、エマニュエル・マクロン(Emmanuel Macron)仏大統領がNATOを「脳死」状態と非難したことを受けてのもの。ポンペオ氏はマクロン氏の発言をめぐる議論を「から騒ぎ」と一蹴する一方、NATOが「成長・変化し、今日の現実と課題に取り組む必要がある」ことは認めた。こうした課題の中には、中国やロシア、イランの政府による脅威も含まれているという。

 フォンデアライエン氏も、自由民主主義という止めようのない列車の到来を告げるものとなったベルリンの壁崩壊から30年の節目を迎える今、現状に安心しきっているのは現実を知らない楽観的な見方だということを認めなければならないと発言。ロシアは「暴力を使って欧州の確定された国境を変え、米国の撤退により生じた空白をすべて埋めようとしている」と警告し、中国が発展して西側のモデルに近づくという期待は実現していないと指摘してポンペオ氏と同様のメッセージを発した。(c)AFP/Tom BARFIELD